こんにちは。ニコ・ドライブWEB店/店長の東方です。
体験運転サービスを開始してもうすぐ1年になりますが、これまで30人以上のお客様にご利用頂きました。ベテランドライバーから、免許を取って1年経たないくらいの若い方まで、様々なお客様にお越し頂いております。
お越し頂く皆様、当然ながら、住んでらっしゃる地域がさまざまなのですが、共通して仰ることがひとつあります。それは「情報が少ない」の一言。
手動運転装置というものは、iPhoneやコカ・コーラといったほぼすべての人が知っているようなものではありません。手動装置というものをご存じないところに「今日から手でアクセル・ブレーキしてください」と言われても、それってどうしたらいいのでしょう、と戸惑いのお電話を頂くのも頷ける話です。そこで、私が対応させて頂いたお客様の記録をブログにしようと思い立ちました。参考にしていただければ幸いです。
今回ご紹介するのは、神奈川県にお住まいの男性、Sさんです。
どこに行ってもずっと頭の中にある心配事。足で運転する不安から解放されましたよね。
「今日これから行っても良いですか?」「ぜひどうぞ」
ホームページ見てるんですけども…体験運転ってあるんですか?
と、お電話頂いたのが最初でした。
2月頃、まだまだ寒い時期でしたが、太陽が出ていてポカポカした陽気でした。
やっておりますよ、ご予約承りますので、何日が良いですか?と返答したところ、今から行ってもいいですか?とのこと。
お住いが神奈川県内で、弊社のある溝の口も行ったことがあるということででした。もちろん良いですよ、何時ごろになりますか?ということで、1時間ほど経ったあとこちらにお越しになりました。
Sさんは、杖を使えば問題なく歩行ができており、歩くお姿を見ても一瞬、ハンドコントロール必要かな?とも思ったのですが、お話を伺いました。足がこのようになってから、運転を積極的にできなくなってきたとのこと。元気なうちはいいが、遠出したり、家族で買い物に行った時、足に余力を残しておくようどうしても頭の片隅に足のことがあって、運転を避けるようになってきている、とのことでした。アクセルペダルからブレーキペダルへの踏み変えが今まで通りできなくなってきたことがもっとも不安で、このままで良いのか悩んでいたそうです。
「手動運転補助装置というものの存在は知っていたんですが、どのようにして買うことができるのか、それと、車に取り付けるわけですから、免許、車検においてはどのような扱いになるかを、どこの誰に聞いていいかわからなくてですね。噂だけであれば、取り付けに時間がかかって、20万から30万くらいかかるってことみたいで躊躇していて。」
「たぶん、ニコドライブさんのことはNHKのニュースかなにかでちらっと見て、そのままになっていたんですが、いよいよちょっと足で運転するのは不安だな、と。あらためて調べて、ホームページ見たら体験運転ができるってことで、今日来ました」
どのように運転するものなのか、こういうものの仕組みがちょっとわからないのですよね…ということだったので、押してブレーキ、引いてアクセルのご説明を差し上げたところ、同席されたご家族が、「こういう仕組みですか!押すときはブレーキ直接、アクセルのときは、ブレーキが支点になって、これ以上ブレーキペダルの手前に来ない、という位置からアクセルが入るようにテコの原理が使ってあると。これは画期的!アイデアですね!」と興奮。「私、定年で仕事辞めるはものづくりやっていたのでね、これはすごい!」
ご本人は説明を聞くほど冷静になっておられたようで、「私、これで運転できますかねぇ」と不安なご様子ではありました。
慣れるといけますねこれ。思っていたよりも、ブレーキですっと止まることにびっくり。
いつもの流れで、さっそく取り付けに行きましょう、ということで、お車を拝見した所、マツダのCX-5。やっぱりかっこいいですよね、人気ありますね。
座席が高いのでちょっと乗りにくいかもしれないと思いましたが、Sさんご自身、身長があり、座席に座ってちょうど良さそうな印象を受けました。
お取り付けを実施し、エンジンをかけない状態でまずは押してブレーキ、引いてアクセルの感覚をつかんでもらいました。また、駐車場や狭い道を運転するときは、まず自動車のクリープ現象を使って低速で進み、無理にアクセルをかけないことをお勧め。いよいよ発進です。
体験運転では、最初は感覚が掴めないので、無口な1周目です。
Sさん「あ、ブレーキのときはつい足が出ちゃいそうですね」
東方「そうですね、そこはぐっと我慢して頂いて。装置の上からは踏まないようにしてください」
Sさん「右手、片手のハンドル操作になるんですね、これは当たり前っちゃ当たり前だけど、やってみるまでは実感できないですね」
東方「そうですね、両手でハンドルをまわすタイミングに戸惑いがあるかもしれません。自動車が前に進むスピードとハンドルを回していくスピードのバランスを取って下さい。両手で操作する時と違うことに、最初違和感があると思います。」
もともと運転に慣れていた方は、2周目になると会話しながら操作できるようになる方が多いです。
Sさん「アクセルはすごくスムーズに効きますね、しっかり加速していくっていうか」
東方「それはうちの装置がどうこうっていうよりも、お車が良いんですよ、このCX-5は最近のモデルですか、良いお車お選びになってますよね」
Sさん「またまたぁ、来た人みんなの車をそうやって褒めてんでしょ東方さん」
東方「バレました?(笑)。いやいや、でもお車によってクセがあるののはご存知だと思うので、その感覚というか、車ごとの違いですよね。軽自動車をハンドコントロールでスピード出そうとすると、やっぱり苦しそうに加速していきますよ」
Sさん「そうですね、たしかに、この車はぐーっと走ってくれます。買ってから次の車検までまだあるんで、これに装置改造しちゃうのもどうかなって、思ってもいたんですよね」
Sさん「慣れるといけますね、これ。思っていたよりも、ブレーキですっと止まるのはびっくりしました。」
東方「ブレーキは、いきなり押し切って1回で止まるよりも、何回かにわけて押して止まるポンピングブレーキにすると良いですよ。教習所で教わったかもしれませんが。」
冗談も言いながら、無事終了しました。
Sさん「これは、どうやって買ったら良いんですか?電話?ネット?来てもいいの?」
東方「お支払い方法によります、クレジットカード払いであればインターネット、銀行振込であれば電話でも大丈夫です。現金払いはあまり受け付けてないのですが、事前にお電話いただければ、在庫用意しておきます。お選び頂ければと思います。」
後日、電話を頂いて1台を確保しておき、インターネットを通じてのご購入となりました。
メンタル面で不安から開放されたことは大きい。足で運転していた頃の気持ちと同じ状態です。
使って頂いて3ヶ月位経った頃でしょうか、お電話で感想を頂きました。
「ハンドコントロール買ってから、全然気兼ねなく出かけられるようになったせいか、いろいろ気になることがあってね。」
「どうしても、下肢障害者っていうか、我々みたいなのが自分で運転している、楽しんでいるというのが一般的じゃないですよね。なんかこう家族に世話されて積み込まれて運ばれてくるものでしょ、というイメージでね。ハンドコントロール買ってから普通に乗ることができているわけだけど、それもやっぱり一般的ではない。」
「自動車で行った先でね、下肢に障がいある人が自分で運転してくるっていう感覚が相手にないんですよ。以前は、そうですかって遠慮してたんだけど、最近は、こういう身体だけど自分で運転できるからこんな配慮してくれたら助かりますって伝えるようになりました。」
「いや、実は、正直言ってですね、一時期は、ほんとに運転を控えめにしていたんですよ。自分の足がこうなってからね。自分で運転しないわけじゃないですけど、運転していった先で疲れると足が帰りの車でもたないからここまでにしとこうとかね。メンタル面でずっと気になっているというか、家族でせっかく旅行してても何しててもずっと心残りがあると。だから遠出もしないし、行った先でも歩かない、足の体力を残しておこうと、疲れないようにしておこうって思っていてね。万が一があったらいけないですから。」
「それがね、おかげさまでハンドコントロール買って使うようになってから、気にならない。そういう不安からは開放されましたよね、ほんとに。行動範囲もそうですが、気持ちが、足で運転していた頃に戻りました。」
我々としてもこのような感想を頂けるのはありがたいことです。
Sさんは「出かけられるようになってから、自分で操作するにはどうすればいいのかと、様々な乗り物に興味が出てきた」とも仰っており、ますます活動・移動手段の幅を広げて頂きたいと存じます。
次回は最終回、整形外科病院の作業療法士さんが運転体験にお越しになったときのエピソードです。
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