2018/04/12

運転を再開する事で生活はどのように変わったか

クルマは車椅子ユーザーにとって必要不可欠の存在

レガシィは高嶺の花…

こんにちは。nikodriverの白倉栄一です。受傷前はペーパードライバーでしたので運転をすることはありませんでしたが、リハビリを終えて退院した後は、クルマは自分にとっての足のような存在になりました。もちろん交通手段はクルマだけではありませんが、1997年の頃はバリアフリー法の制定前でしたので、鉄道の駅においてもエレベーターや多目的トイレの設置などはほとんどなく、バリアフリーの環境には至っていませんでした。

バリアフリーの法整備が遅れていたためにクルマは欠かせなかった

もし鉄道を利用するのであれば、事前に駅へ連絡しなければなりませんし、当日の利用はホームまでの階段を駅員さん4名で車椅子ごと持ち上げるといった状況でした。このような状況では、車椅子利用者が気軽にどこかに出かけるようなことはできませんでした。

ちなみに法整備においては、1994年にバリアフリーにおける先駆けとなったハートビル法が施行されて、不特定多数が利用する建築物のバリアフリー化が進められたものの、あくまでも努力義務化にしかなっておりませんでした。その後、2000年には交通バリアフリー法が施行されて、高齢者・身障者など誰もが公共交通機関を利用する際の利便性・安全性を確保するために、旅客施設や車両のバリアフリー化などが制定されました。

しかし新設・新車両については義務でありながらも、既存のものについては努力義務のままでした。そして2006年のバリアフリー法によって、建築物及び公共交通機関に加え、道路・駐車場・都市公園・福祉タクシーなどが追加され、旅客施設(鉄道・バス・船・飛行機)に至るまで整備されはじめました。その結果、2014年状況を2002年と比較すると、EVなどの段差解消が39%→91%へ、多機能トイレについては13%→88%に整備されています。

そのため現在においては、公共交通機関の利用も十分可能になっておりますが、あくまで首都圏や大阪などの主要都市であれば、気軽に移動手段を鉄道にすることは可能でしょう。但し、残念ながらそれ以外の地域では難しい状況にあります。

鉄道・路線バスなど廃止路線が増えている現状

鉄道においては、無人駅が多いことや路線バスについては、人気テレビ番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」でもお分かりのように、廃止路線が増えています。高速バスはバリアフリー法の適用が遅れたために、未だ車椅子での乗車はほとんど不可能に近いですし、タクシーを使用すると高額な出費になってしまいます。

そういった状況の中で、欠かせないのがクルマです。もし鉄道の駅を利用するにも、その駅周辺の駐車場を利用することになるので、クルマの運転が必要不可欠になります。でも大概は自分のクルマで目的地まで行くことがほとんどで、クルマこそが外出する手段として大事な意味をもっております。

はじめのうちは自分の住んでいる市内だけを走る程度でした。もっと距離を伸ばしたいと思っていましたが、「慣れていないうちには遠出をしてはならない」と両親に言われて、仕方なく我慢していました。今思えばその通りだったのかもしれません。交通事故によって車椅子生活となったこともあり、また交通事故に遭ったらどうするのか?と考えてしまう両親の気持ちが、今になったらよく分かります。

その後慣れてくると同時に距離を伸ばしていき、隣の県・都内まで出るようになっていきました。自分は運転が得意なほうではありませんが、何とか都内でも運転できるようになるととてもうれしい気持ちになりました。

クルマの運転に慣れてくるとバリアフリースポットの調査が始まった

そして仕事休みにいろいろな観光スポットを巡るようになり、その際には、必ずバリアフリー状況をチェックしました。身障者用駐車スペースの有無、駐車場から施設入口までがスムーズかどうか・急勾配はないか、目的の施設に多目的トイレが設置されているかなどを確認していきました。

2005年からは自分が実際に出向いて確認したバリアフリースポットをブログで紹介する活動をしていき、同じ車椅子ユーザーからは「参考になった」「安心できる」といったコメントを頂けるようになったことで、自分にとってはとてもやりがいを感じるようになりました。さらに多くのスポットを紹介したいという気持ちになり、休みの日には情報収集のために時間を使い、12年間で1000件以上のバリアフリースポットをブログで配信することができました。

12年間の後半は、近場だけではなく、全国のスポットの情報を収集したいと思い、飛行機を使って、あちこち行くことになりました。手動運転装置の代車を貸してくれるところを事前に連絡しておくことで、地方の空港まで代車をもってきてもらい、全国各地を巡ることができました。

しかし手動運転装置の代車を貸してくれる会社が限られているため、鹿児島へ行きたいけれど、熊本空港で代車を借りるしかなかったり、長崎に行きたいけれど、佐賀空港で代車を借りるしかありませんでした。まだまだ自分で運転する方法が確立されている状態ではないのが現状です。

日本1周をすると自分の人生観が変わる

また1年前に実施した日本1周バリアフリー調査においては、自分のクルマで関東~北海道~東北~北陸~四国~九州~中国地方~近畿~中部~関東と延べ27日間で回りました。これもクルマがあってこその旅になっています。今まで見たことのない景色や様々な土地における名産品などを楽しむことができます。まさに忘れられない思い出ばかりです。一度はぜひ日本1周をしてみませんか?自分の人生観が変わるにちがいありません。

すべては手動運転装置があることによってもたらされたものです。だからこそ車椅子利用者にとっては、全国各地に行けるのであり、足になりうる十分な機能こそが、手動運転装置ではないでしょうか?クルマを運転することが車椅子利用者にとって行動範囲を広げられる素晴らしいツールになります。

天気には左右されてしまいますが、気晴らしにあちこち出かけてみることで、いろいろな発見があります。またクルマに乗っているときは、障害者であることも忘れられるという声も多く聞きます。ぜひともクルマでの運転を楽しんでみてはいかがでしょうか?